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2017年3月 3日 (金)

交通事故の被害者の破産(1)

【問題】
 
交通事故の被害に遭った破産者の加害者に対する損害賠償請求権は、破産財団に属するか。
 
(1) 破産手続開始決定後に交通事故の被害に遭った場合
 
(2) 破産手続開始決定前に交通事故の被害に遭った場合
 
 
【解答】
 
(1) 破産財団に属しない。
 
(2) 原則として破産財団に属するが、自由財産と認められる損害費目については、破産財団に属しない。
 
【解説】
 
破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した破産管財人に専属する(破産法78条1項)。
 
つまり、破産財団に属する財産については、破産者からその管理処分権が剥奪され、破産管財人の管理下におかれたうえ、換価され、破産手続費用や破産債権者への配当にあてられる。
 
もっとも、破産法34条1項は、「破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする」と規定している。
 
したがって、破産手続開始決定後に、破産者が交通事故の被害に遭い、加害者に対する損害賠償請求権を取得した場合、この損害賠償請求権は、破産財団に属しないことになる。
 
一方、破産手続開始決定時に破産者に帰属する財産は原則として破産財団に属するが、民事執行法等の法律に基づく差押禁止財産やいわゆる一身専属権等権利の性質上差押えの対象とならない財産については、自由財産とされ、破産財団に属しないこととされている(破産法34条3項)。
 
また、裁判所は、破産者の生活の保障を図るため、破産管財人の意見を聴いたうえで、自由財産(破産財団に属しない財産)の範囲を拡張することがある(破産法34条4項5項)。
 
したがって、破産手続開始決定前に、破産者が交通事故の被害に遭い、加害者に対する損害賠償請求権を取得した場合、この損害賠償請求権は、原則として、破産財団に属するが、自由財産と認められる損害費目については、破産財団に属しないことになる。
 
どのような損害費目が自由財産と認められるかについては、次稿で解説する。
 
 

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