カテゴリー「親子」の記事

2019年4月27日 (土)

養子縁組後の親権者変更の可否

【問題】

離婚して親権者となった実親の一方が再婚し、子がその再婚相手と養子縁組をして当該実親と養親が共同親権者となった場合、子の親権者を他の一方の実親に変更することができるか。

【回答】

判例(平成26年4月14日最高裁判所第一小法廷決定/最高裁判所民事判例集68巻4号279頁)によれば、できません。

以下、上記決定の理由中、該当部分を引用します。

『民法819条は、1項から5項までにおいて、子の父母が離婚する場合等には、子は父又は母の一方の単独の親権に服することを前提として、親権者の指定等について規定し、これらの規定を受けて、6項において、親権者の変更について規定して、親権者を他の一方に変更することができるとしている。このような同条の規定の構造や同条6項の規定の文理に照らせば、子が実親の一方及び養親の共同親権に服する場合、子の親権者を他の一方の実親に変更することは、同項の予定しないところというべきである。他方、上記の場合において、親権者による親権の行使が不適切なもので子の保護の観点から何らかの措置をとる必要があるときは、親権喪失の審判等を通じて子の保護を図ることも可能である。
  そうすると、子が実親の一方及び養親の共同親権に服する場合、民法819条6項の規定に基づき、子の親権者を他の一方の実親に変更することはできないというべきである。』

 

2017年3月 2日 (木)

分籍

【問題】
 
子は、市区町村役場への届出により、親を筆頭者とする戸籍から外れて、子自身を筆頭者とする新しい戸籍に入ることができるか。
 
【解答】
 
子が成年者である場合に限り、子は、市区町村役場への届出により、親を筆頭者とする戸籍から外れて、子自身を筆頭者とする新しい戸籍に入ることができる。
 
【解説】
 
以下の規定による。
 
戸籍法21条1項本文 「成年に達した者は、分籍をすることができる。」
 
同法100条1項「分籍をしようとする者は、その旨を届け出なければならない。」
 
なお、分籍の届出先は、子の本籍地の市区町村役場のほか、分籍により新たに本籍地としようとする地(分籍地)の市区町村役場でもよい(同法25条、同法101条)。

被認知者の承諾の要否

【問題】
 
任意認知(裁判によらない認知)をするためには、認知される子の承諾が必要か。
 
 
 
【解答】
 
認知される子が成年者であるときは、認知される子の承諾が必要である。
認知される子が未成年者であるときは、認知される子の承諾は不要である。
なお、認知される子が胎児であるときは、胎児の母の承諾が必要である。
 
 
 
【解説】
 
任意認知は認知者が行う単独の法律行為であり、原則として、被認知者の承諾を必要としない(民法779条参照)。
しかし、この原則を貫くと、認知者が、自己の都合で、認知したり、認知しなかったりといった不都合な事態が生ずる。
そこで、民法は、例外として、認知される子が成年者であるときは子自身の承諾を必要とし(782条)、認知される子が胎児であるときは母の承諾を必要とし(783条1項)、上記事態の発生を防止している。
もっとも、認知される子が未成年者であるときは、誰の承諾も必要とされていない。
子の福祉の観点からは、問題の残る規定である。

2013年12月 4日 (水)

親子の面会交流(2)

 親子の面会交流を約束する調停やこれを命ずる審判の内容を実現するため、裁判所は、間接強制決定をすることができるでしょうか。


 間接強制とは、例えば、不履行1回につき5万円の支払いを命ずるというように、罰金により、履行を強制することです。(なお、親子の面会交流を代替執行により実現することは性質上不可能であり、直接強制が許されないことについては、子の福祉の観点から、争いがありません。)


 この点、平成25年3月28日の最高裁判決は、3つのケースのうち1つのケースについて間接強制決定をすることができるとし、残り2つのケースについて間接強制決定をすることができないとしました。

 間接強制決定を認めたケースにおいて、監護親側は、子どもが面会交流を拒絶する意思を表示していると主張しましたが、最高裁判所は、面会交流を許さなければならないとする審判は子の心情等を踏まえてなされているし、審判後に事情の変更があれば、新たな調停や審判を申し立てることも可能であるから、監護親の主張は間接強制決定を妨げる理由にはならない旨述べました。

 上記各最高裁判決は、親子の面会交流について定めた調停や審判に基づき間接強制決定をするための要件について、次のように述べています。

「監護親に対し非監護親が子と面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判において、面会交流の日時又は頻度、各回の面会交流時間の長さ、子の引渡し方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえる場合は、上記審判に基づき監護親に対し間接強制決定をすることができると解するのが相当である。」

 間接強制決定をすることができないとされた2ケースのうち1ケースについては、未成年者の引き渡し方法が定められていないことにより、もう1ケースについては、面会交流の日時、場所、方法等は、長男の福祉に配慮して協議して定めるとされていることにより、「給付の特定に欠ける」との理由で、間接強制決定をすることができないとされました。

今後、実務は、この最高裁判決の基準に従い、動いていくことになります。

2013年11月28日 (木)

親子の面会交流(1)

平成23年以降,親子の面会交流の分野で,3つの動きがありました。

■ひとつめは,平成23年の民法改正により,従来から解釈上認められていた親子の面会交流が,父母が離婚時に協議する事項のひとつとして規定され,しかも,この協議においては,子の利益を最も優先して考慮しなければならないと明記されたことです(民法766条1項)。協議が調わないとき,又は協議することができないときは,家庭裁判所が面会交流の時期や場所や方法等について定めることになります(同条2項)。

面会交流は,子どもの権利であり親の義務です。いかなる事情で離婚したにせよ,子どもには,面会交流の機会を与え,離婚し別居することになった親からも変わらず愛されていると実感させてあげることが必要です。逆に,子ども自身が真に面会交流を望まない場合に面会交流を強制するわけにはいきません。

■2つめは,平成25年1月1日に施行された家事事件手続法中に,子どもの利益を最も優先して考慮するための仕組みが設けられたことです。具体的には,家庭裁判所は,面会交流についての審判をするにあたっては,15歳以上の子どもの陳述を聴かなければならず(同法152条2項),子ども本人に手続行為能力が与えられ(同法151条2号,同法118条),子どもは国選または私選により弁護士を手続代理人として付けることができる(同法22条)とされたことです。

これらの仕組みが家庭裁判所調査官の調査とあいまって,子どもの最善の利益のために機能していくことが望まれますが,今のところ,手続代理人の費用が公費で賄われる仕組みがないので,弁護士が無償で手続代理人を引き受けざるを得ないという問題があります。

■3つめは,最高裁が,一定の要件のもと,面会交流についての間接強制決定を可能としたことです(最高裁平成25年3月28日第1小法廷決定)。この点は,親子の面会交流(2)のブログでご説明します。